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OpenSourceGuide
2006/11/30-2007/9/30

「にわたま」な状態からの脱出方法


ビジネスを運営していると、どこから手をつけてよいか分からなくなるときがありますよね。そのような場合は「にわたま」な状態に陥っていることが良くあります。ガイド自身も会社を立ち上げたこともありますし、オープンソースビジネスの立ち上げ屋として、多くの事業立ち上げや再生の仕事を請け負っていたので、その時に感じた陥りやすい穴と解法についいてふれてみます。

ニワトリが先か卵が先か(にわたま)

事業運営や推進会議には必ず、「ニワトリか先か、卵が先か(以下:にわたま)」的な話が出ます。 「もし、事例があったら、もっと売れるのに。でも売れていないから事例が出来ないんだよね。」とまぁ、そんな感じです。 そんなときに、「ホント、ニワトリか先か、卵が先かだよなぁ」などという発言が出ることもままあります。 以前私がやっていた“立ち上げ屋さん”や事業企画の仕事はいわば白紙で更地な場所から始める仕事が多いので、最初はいつもこんな”にわたま”な議論から始まることが多いのです。 ビジネスはお客様とパートナー、そしてメーカーが同じひとつの市場で動いているので、全て関連性があります。ソフトウェアの間接販売ビジネスを例にとってお話しましょう。ビジネスを上手くまわすためには、この顧客とパートナーとメーカーの3者が同時に動き出す必要です。しかし顧客もパートナーもそれぞれ主体性を持っており、弱小メーカーの言う事なんかそうは聞いてくれません。更に立ち上げ当初なのでメーカーに予算なんかほとんどない状態ともなれば、3者を同時に動かすなんて不可能に見えてしまうことも多いと思います。

にわたま」な状態とは!?

日本のIT業界のベンチャー企業が成功する確率は「千三つ」といわれることもあります。 成功するのは3%くらいということだとおもいますが、ほとんどの会社が立ち上がらずに10年もたずに飛ばないままの零細企業で終わってしまうような気もします。実際に調べていないのでわかりませんが、ほとんどの「成功しない理由」が、この「にわたま」な状況から脱せていないことのように思えてなりません。 今回は”立ち上げ屋さん”や事業企画者として一番期待される部分であり、経営陣からみて深刻な部分である「にわたまからの脱出」についてお話します。

まず、「にわたま」な状態とは?

”にわたま”な状態とは、経営者や現場キーマンが製品が売れないことと、売れない理由しか理解していないため、その議論ばっかりが進み、明快なプランが出てこないまま会議に疲れて、仕事をした気分になったり、問題が先送りになったり、時間ばかりがたってしまう状態のことを意味しています。 経営的に時間だけがたつことは、給与を社員に支払っている以上、資産の流出であり、これが続けば倒産の危機もまねくこともある由々しき状態であると思っています。

「にわたま」な状態からの脱出方法

では、どうすれば「にわたま」な状態から脱出できるのかをまとめてみましょう。 実はこれは、文章で説明するのは結構難しいことです。なぜなら、その解法は本質的にはシンプルですが、方法としては複雑だからでです。 そもそも会社というのはどんなに小さな会社でも、その市場で仕事をしている現場作業のプロ集団であり、それなりの知識と経験があります。そういう現場作業のプロが見つけられないことなのですから、解法自体は非常に複雑になっていることが多いのです。

では、その解法とは?

この解法は、将棋の戦略のようなものであると私は考えています。 将棋は最初の一手だけで勝負がつくことは絶対にありません。何手も打ちつづけながら戦場形成を変化させ、局面を変え続けるうちに、勝利の打ち筋が確立されるのです。 解法におけるミソはまさにこの「何手も打ちながら戦場形成を変化させ、局面を変え続ける」ことです。将棋では、「王手」を打つまでに、何手も「王手ではない手」を打ちますよね。それらは全て、局面を有利にするための一手だと思います。「にわたまの解法」もまさに、この部分が一番肝心なのです。 事業が成功するために重要な大きなプランがあれば、そのプランを実行可能にするためのいくつもの小さなプラン(将棋でいうところの局面を有利にするための手)を同時に創造することが「にわたまな状態」から脱出するために非常に大事です。 一般的に「にわたまな状態」に陥りがちなのは、事業成功のための重要プランが、市場の状況にマッチしていないので、成功しにくく見えてしまい、議論と事業運営が堂々巡りになってしまうからです。その際に、「事業成功のための重要プラン」が有効に働くための「お膳立てプラン」のような小プランもできていれば、事業は「にわたま」から脱出できる案を実行できるようになるのです。

お膳立てプラン・イメージ

しかし……。その「お膳立てプラン」が一段階ですめば、シンプルなのですが、実際にはもっと複雑で、本プランを実行するまでの「お膳立てプラン」が3段階くらいあることもあるようです。更にその本プランも何個もあるのが普通なので、シナリオ自体は非常に複雑になります。5手も10手も先を読み、そして柔軟性に富んだシナリオをつくることが必要となります。 仕事として請け負えば、当然そのシナリオの明文化が必要です。しっかり作れば、シナリオの長さは相当な長文になるのは間違いありません。 以前、私が某一部上場企業での新事業立ち上げのシナリオを書いたときは、企画書の枚数が販売戦略だけで100ページ近くになったこともありました。「市場がこうなったら、こういうプランを開始し、中間結果Aのときはプランを維持、中間結果Bの時はさらにプランを追加する……」といったシナリオでした。私はこういうシナリオづくりが苦にならないタイプなので楽しかったですが、作成には結構時間がかかり、大変な作業でした。

「圧倒的な実行力」が必要

話しを「にわたまからの脱出法」に戻します。「にわたまからの脱出法」のイメージはできましたでしょうか? ひとことで言えば、事業効果が高い本プランを実行するための戦略局面を有利にするプランが解法」であると信じています。 そしてもうひとつ肝心なことがあります。それは「圧倒的な実行力」です。 常に変化している実際の市場で、自分に有利な局面を作り上げるためには、複数の顧客、複数のパートナーに対して同時に手を打つ必要があります。一手一手打っているのでは、打っているそばから市場は違う形に変わってしまいます。同時に何手も打つことが出来る「圧倒的な実行力」が有効な局面は多いと思います。 とはい言っても、「言うはやすし、行うは難し」ですね。私も精進しますw それでは今日はこの辺で……




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