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新しいSOAの実装方法「クライアント型SOA」のすすめ
2005/8/29-2006/5/31

クライアント型SOAによる官公庁電子申請システム

インターネットをもっとリッチに
   官公庁やBtoCビジネスを支えるソリューションとして、サービス利用者を対象にしたクライアント型SOAにフォーカスを当ててみたいと思います。この分野は法人内部のシステムを構築する設計手法として一般的に認識されているSOAとは「まったく違った切り口」でアプローチする必要があり、新しい市場分野を切り拓く可能性があると考えています。

   サーバ型SOAや法人内部使用におけるクライアント型SOAのシステムは単純にサーバ上のサービスや各種機能をサーバやクライアント側で「組み替えている」に過ぎません。

   しかしこの分野でのクライアント型SOAでは、従来、Webサービスとクライアント側が乖離(アンバンドル)していたものを融合(バンドル)する意味合いがあり、この融合が新しい利点を生み出します。この点が圧倒的に違う点だといえます。

   この分野での官公庁やBtoCビジネスのシステムは、WebサービスによるサーバシステムとWebブラウザによるクライアントシステムが大半を占めています。この場合のクライアントシステムでは単純にブラウジングするだけのシステム(ブラウザ)がクライアントに搭載されています。

   Webブラウザは非常にシンプルなシステムであるので表1のようなメリットがあり、一般利用者をターゲットにしたシステムでは多く採用されています。

メリット 不便な点
  • メンテナンスなどがほとんどかからない
  • トラブルが少ない
  • OSなどの環境の違いがほとんどない
  • クライアントへのデータ保存機能が弱い
  • クライアントシャットダウン後の継続利用が難しい
  • 入力効率が悪い

表1:Webブラウザによるクライアントシステムのメリットと不便な点

   メリットがあるものの、Webブラウザは単純なシステムであるので、不便な点もあります。しかし現時点ではWebブラウザが標準であるため、不便さに気がつくこともなく利用され続けています。

   PCを所持している人のほとんどがインターネットを利用しているにもかかわらず、その利用シーンはあくまで情報をブラウジングしている程度にとどまり、情報の入力やサービス・情報提供者とのインタラクティブな利用シーンにおいては、格段にPCの利用頻度が低くなっているように思えます。

   インターネット上でビジネスをしている方々は口をそろえて「少しでも面倒くさいことがあると利用率は低下してしまい、ビジネス機会損失につながる」といっています。

   この言葉こそが「現状のWebブラウザによるシステムの限界」を証明していることであり、クライアント型SOAのシステムがこの「面倒くささ」を払拭できれば、インターネットの世界は今以上に活性化する(リッチになる)と考えています。例えば、次のことが実現できたらもっと便利になると思いませんか。

  • 会員登録や何らかの申請など、情報を登録することがもっと楽になる
  • 日常使用している検索エンジンが、自分自身のプロファイルを元に必要な情報を優先的に検索できる
  • 株価予測や資産運用管理のソフトウェアなど、普段利用しているクライアント上のソフトウェアとインターネットのサービスが連動する

表2:インターネットの世界でのリッチ例

   これらがまだ実現できていないのは、Webブラウザや利用者が所持する情報とソフトウェアが同じクライアント上に存在しているにもかかわらず、両者が乖離(アンバンドル)しているからなのです。

   この分野にクライアント型SOAを適用すれば、この乖離(アンバンドル)は融合(バンドル)され、今以上にサービスプロバイダと利用者の間とのインタラクティブな利用シーンが増加すると考えています(図1)。

バンドルとアンバンドル
図1:バンドルとアンバンドル

   従来はクライアント側にソフトウェアを配布すると、「メンテナンス性が悪化」したり、OSやクライアント環境の違いによる「サポート負荷」がかかるため、サービス利用者のクライアントを対象にしたクライアントソフトウェアは倦厭されてきました。

   しかしながらサイオのIdbAのように、はじめからインターネット経由のメンテナンスを考慮した設計のクライアント型SOAソリューションであれば、「メンテナンス性の悪化」「サポート負荷」は大幅に払拭されます。

   更に前回まで触れている通り、クライアント型SOAは従来の「1サーバ:nクライアント」の仕組みから「nサーバ:nクライアント」を実現することにより、1台のクライアントで複数のサーバとのやり取りを同時に実現することができるため、その利便性は更に拡張されます。

   この分野にクライアント型SOAを適用した場合に複数のサーバから情報を入手したり入力する場合は、従来は個別にそれぞれのサーバにアクセスしなければなりませんでした。しかし、クライアント型SOAであればそれらのアクセスを一括で行えるようになります(図2)。

リッチなインターネット活用シーン
図2:リッチなインターネット活用シーン

   今回提唱するソリューションでは、「サーバ間の障壁(アンバンドル)」と「クライアント内の乖離(アンバンドル)」をすべて融合した「真のボーダレスな仕組み」を実現し、この「アンバンドル」による利用者ストレスを払拭し、今以上に一般利用者がインターネットをリッチに活用することができるのです。さらに、この利用シーンはサービスプロバイダにとって低リスク(メンテナンス性の低減とサポート負荷の軽減)で実現できるのです。

   以下において、上記ソリューションを有効に活用できる分野の例を紹介します。
クライアント型SOAによって広がる官公庁/BtoCソリューションの世界
   ここで一般利用者をターゲットにしている、官公庁とBtoCビジネスにおけるWebサービス連携システムついて紹介します。このソリューションの優位点は「入力の簡便化」「複数サーバへの一括アクセス」であるため、有効な適用範囲は一般利用者の生活や職務に密接に関係した、日常的な利用頻度が高い分野になります。

   クライアント型SOAによる官公庁電子申請ソリューションとして、「現状」「システム要件」「システムイメージ」「採用メリット」について解説します。
現状と解決策

   各官公庁ではe-Japan構想もあって、多くの電子申請のソリューションが導入されています。基本的には、利用者は官公庁が提供するWebサービスにログインしたり、必要な申請書のファイルをダウンロードして入力・申請をしています。

   官公庁に赴くことなく申請行為を楽にできるようになりましたが、申請のたびに入力の手間が発生するため、入力の煩わしさが残ります。さらに官公庁には申請書に記載する用語の使用規定があるため、申請書の修正などが発生しやすく、審査窓口業務の煩雑化につながっています。

   そこで、官公庁では電子申請システムによるクライアント型SOA(リッチクライアント)の採用検討がはじまりつつあります。クライアント型SOAによる電子申請システムにより、複数の窓口業務の処理連携や、反復入力の回避や入力支援を実現し、現状の申請作業・窓口業務の煩雑さの回避を目指しています。


システム要件

   システム要件において特筆すべきは、マイノリティ(少数派)への対応です。ブロードバンドが主流の現在においても、ナローバンドの利用者も確実に存在しています。またWindowsクライアントがかなりのシェアを持ちつつも、MacintoshクライアントやLinuxクライアントも確実に存在しています。官公庁という性質上、マイノリティを無視したシステム構築は難しいといえるでしょう。

   もう1つ特筆するとすれば、汎用技術によるシステム構築が必要です。これは官公庁のシステム耐用年数が民間企業ユースと比較して長期になっているからであり、一般的には10年耐用年数が求められています。10年後もメンテナンスできる技術/10年後も使用できる技術によるシステム構築が必要になります。よって、個別のベンダーに依存した独自技術は採用されにくいということになります(図3)。

官公庁のシステム要件
図3:官公庁のシステム要件

システムイメージ
   ここではサイオIdbAによるシステム構成例を解説します。サイオのIdbAはJavaベースであるため、Windows/Macintosh/Linuxといったマルチプラットフォームクライアントに対応しかつJavaという汎用技術を活用しているため、耐用年数もクリアしています。

   IdbAは本体ファイルサイズが2MBと軽くなっています。またファイルサイズを大きくとってしまいがちな各種申請書のファイルを、作表コンポーネントと申請書プロファイル群に切り分けて開発するアプリケーションのコンポーネント化により、非常に小さなサイズでのクライアントシステム構築が可能になります。

   こういったサイズの縮小により、ナローバンドへの対応が可能となります。また、IdbAのWebスクリーンスクレイピングやSOAPクライアントにより、複数のWebサーバへの接続も容易に実現できます。さらにIdbAのコンポーネント配信技術により、メンテナンスも容易になります(詳しくは本連載を参照ください)。

システムイメージ
図4:システムイメージ
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   クライアント側のシステムにフォーカスした場合は図5のようになります。

クライアントシステムイメージ
図5:クライアントシステムイメージ

   続いてセキュリティについて触れておきます。当該システムにおいてセキュリティーは当たり前の要件として求められており、万全な仕組みを用意する必要があります。

   特にサービス利用者を対象にしたクライアント型SOAのシステムでは、クライアントシステムには重要な個人(申請者)情報が含まれているため、外部からのデータ改ざんや漏洩ができてはいけません。

   当該システムのように一般利用者が使用するようなクライアント型SOAソリューションでは、クライアント側のシステムをインターネット経由でメンテナンスします。その場合、このメンテナンスのルートを使用してシステムの不正変更を防御する必要があります。

   サイオのIdbAの場合はシステム上で接続先のWebサイトを限定することや、コンポーネントに証明書を添付することにより、不正なコンポーネントの配信を防ぐことができます。さらに、クライアントシステムにより生成されたデータを他のプログラムが閲覧/使用できないように制限できるため、セキュリティの面では万全の環境を用意することが可能です(図6)。

IdbAのセキュリティ
図6:IdbAのセキュリティ
クライアント型SOAのシステム採用メリット
  ここからは、本ソリューション採用メリットを機能別に紹介します。
データ保存機能による反復入力の軽減(利便性の向上)

   Webブラウザより格段にデータの保存性が向上し、次回以降の入力作業が大幅に軽減できるため、サービスレベル/サービス利用頻度の向上が期待できます。


入力補助機能の向上による記載ミス/書類不備の軽減(窓口業務の軽減)

   クライアントシステム側の入力補助機能により、記載内容の不備、記載箇所や使用語句の間違いなどの入力ミスを未然に防ぐことができます。

   よくある例ですが、「ソフトウエア」「ソフトウェア」「ソフトウェアー」「ソフトウエアー」などの意味合いとして同じ語句でも複数の表記法が一般的にはあります。例えば会社設立時に提出する約款などは規定の語句を用いる必要があり、この語句の違いにより再提出を行った経験が筆者にはあります。


法改正や申請方法の変更などによる柔軟なシステム改変(メンテナンス性の向上)

   サイオのIdbAはソフトウェアをコンポーネント化(部品化)しているため、システムの機能拡充はもちろん、法改正なども含めたクライアントシステムの変更もメンテナンスも部分的なコンポーネントの交換(配信)で対応できます。

   そのため、大量に稼動しているクライアントシステムに対して容易にメンテナンスを行うことができ、メンテナンスコストを軽減することができます。


次回について

   今回はクライアント型SOAによる官公庁電子申請ソリューションを解説しましたが、クライアント型SOAの新しい適用分野を理解いただけたでしょうか。

   同分野でのクライアント型SOAソリューションの適用範囲としては、Webサーバに対する入力が頻度/量的に多く、利用者の生活サイクルに密接になっている適用領域であれば、従来のブラウザ型のシステムと比較して大きなメリットがでてくると考えています。

   次回は2つ目の適用例として、BtoCビジネス市場にフォーカスを当てたいと考えています。BtoCビジネス市場でのクライアント型SOAの採用ケースは、従来のシステムのように「業務効率/生産性の向上」を実現するだけでなく、「複数のサービスの組み換え/融合」を行うことによるシナジー効果が期待できます。

   業態によっては、このシナジー効果はサービスプロバイダーにとって大きな需要を生みだすことになるため、非常に訴求力が高いソリューションになります。

   最近はクライアント型SOAやそれに類似するキーワードがメディアに露出しはじめています。このことから、先進的なベンダーやシステムインテグレータ、そして読者の皆様はすでにこの分野に注目しはじているといえるでしょう。

   特に来年はクライアント型SOAの最初の隆盛になると確信しています。読者の方々には是非来春からの各社の発表やイベントに注目して欲しいです。おそらく大手ベンダーの参入をきっかけに、クライアント型SOAは市場の注目を集めるのではないでしょうか。来年はマーケティング先行で市場展開されると思いますが、その中でも確実に実績ができてくると思います。

   なぜならば、クライアント型SOAはクライアントシステム側でサービスの組み換えを行えるために小さな投資で短期間のシステム構築ができ、その後のシステム拡充を柔軟に実現できるからです。これこそまさに市場が求めるシステム像ではないでしょうか。さらに、クライアント型SOAはクライアントシステムをサービスのプラットフォームとして位置づけているため、複数のサービスを乗り入れやすいです。

   複数のサービスを乗り入れた場合、その利便性は相乗的に増加するとともに複雑にアライアンスが交錯しているため、リプレイスが困難になり、非常に息が長いソリューションとして市場に存在し続けるでしょう。

   その結果、サービスプロバイダ/ソリューションプロバイダは事業が安定するのではないでしょうか。このように、利用者の利便性向上、システムメンテナンスの軽減、プロバイダーの事業安定などの要素が評価され、確実に浸透していくと考えております。クライアント型SOAの動向とともに次回に是非期待してください。

第1回 クライアント型SOAとは
第2回 クライアント型SOAの設計方法と開発方法
第3回 クライアント型SOAの実例
第4回 クライアント型SOAによる官公庁電子申請システム
第5回 クライアント型SOAによるBtoCビジネス向けのシステム
第6回 クライアント型SOAによるスモール&クイックスタート - 最適な投資とは
第7回 ストックビジネスを変えるクライアント型SOA
第8回 クライアント型SOAが実現するBtoBクライアント


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